葉の上にあるカプセル
薬を飲む女性とカプセル
薬を飲んでいる女性と薬
病原体

女性は、クラミジアが感染するとされる粘膜の面積が大きいという身体の構造を持っています。そのため感染しやすい特徴があり、男性とは違い尿などで簡単に洗い流されない点が感染のしやすさに拍車をかけています。子宮から卵管、卵管から腹腔内へとつながっているので、クラミジアの病原体が広がりやすく重症化しやすいのも特徴です。子宮の周りや臓器に感染が広がった場合、腹部に激痛が走り救急搬送されるケースもあります。感染しても女性の半数以上は自覚症状がないということもあり、感染したことに気づかないまま放置する可能性があります。そのような状態が続くと不妊症になる可能性もあるので注意が必要です。

クラミジアの潜伏期間

クラミジアの潜伏期間は、他の性感染症より比較的長く1~3週間です。感染しても何も症状があらわれない場合が多く感染に気がつかないケースも多いです。女性の場合は70~80%の感染者が無症状と言われていることから、症状に気がついて対応できる人は感染者のうちの20~30%の人となります。無症状のままクラミジアの感染は進んでいくので、潜伏期間や感染した相手などの特定はとても難しいです。

クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌に感染することで引き起こされる疾患です。弱い菌であり人の身体から出ると長く生きられないので、タオルやスリッパなどの生活用品を共有することや入浴場で感染する確率はとても低いです。
クラミジア感染症の多くは性的な接触によって、膣分泌液・精液や血液・唾液という体液を通して感染していきます。一般的な膣性交による感染に加えて、オーラルセックスによって咽頭に感染したり、アナルセックスにより直腸に感染したりすることもあります。手に分泌液が付着する場合もありますが、その手で目をこするなどすれば目の粘膜に感染するケースもあるので気をつける必要があります。目に感染すれば目と鼻をつないでいる管を通り、咽頭感染を引き起こすことも知られています。

クラミジアに感染しても無症状であることが多いので、知らないうちにパートナーに移してしまったり、移されたりする状態を繰り返すこともあります。コンドームが適切に使用されていない場合をはじめ、不特定多数の人と性的な接触を持っている人は感染のリスクが非常に高くなります。また、クラミジア感染症にかかっても無症状で時間が経過していくことが多いので、潜伏期間を特定して感染経路を調べようとしても、なかなか正しい答えが出ることはありません。
感染してから症状が出るまでの潜伏期間中でもクラミジアの菌は体内で増殖しているので、さまざまなリスクを持つようになります。妊婦が感染しているまま出産をする時には、産道で胎児が感染してしまう可能性もあります。
症状が出た場合にパートナーと検査をしても、相手は他の理由で飲んでいる抗生物質により知らないうちに完治しているケースもあります。これにより、自分には症状があるけれど相手にはないという結果が出る場合もあります。

クラミジアの症状

クラミジアの症状は男性と女性で違いがあり、感染によって起こるリスクも変わります。男性の場合は感染後1~2週間ぐらいで、尿道炎が起こることが特徴です。排尿時に不快感がある・しみる・灼熱感があるなどの理由で受診する人も多くなります。さらに尿道から膿が出ることもありますが、膿は透明から乳白色、黄乳白色で感触はサラサラしていて粘り気がありません。

女性の場合は初期段階で、子宮頸管部粘膜と言われる膣の奥や子宮の入り口に感染します。ここには痛みを感じる神経が少ないので、痛みを感じてクラミジアに気がつく人はほぼいません。痛みを感じないということで、クラミジアに感染してもほとんど症状が出ないという認識になります。クラミジア感染をすると膣内の抵抗力が落ちることがあり、それにより他の病原菌も侵入しやすくなり膣炎が起こりやすくなります。膣炎の症状としては、おりものの状態が普段とは違ったり、性器のかゆみ・ニオイがきつくなったりします。また、粘膜に炎症が起こっているので、性行為を行うことで痛みが出ます。これらが初期症状として最も多く、これらの症状が出ない人もいます。

初期に必要な治療ができていないと、さらに身体の奥にクラミジアが侵入していきやすくなります。その結果、子宮内膜炎を経て卵管炎・腹膜炎になることがあります。子宮内膜炎は下腹部の痛みや不正出血もみられるので、身体の異変に気がつき始める時期と言えます。また子宮内膜の炎症なので妊娠しても流産する原因とも考えられます。
さらに感染が進み卵管炎になれば、激しい下腹部痛があり、卵子の通り道とされる卵管がふさがれるので不妊症につながっていきます。卵管の出口は腹腔内につながっていて、さらに進展すればそこから腹膜炎になります。骨盤内腹膜炎の症状には、下腹部痛や生理痛・性交痛・不妊症などがありますが、時には激しい上腹部痛が起こります。このような場合、既に肝臓の裏側にクラミジアが侵入しているケースもあり、肝周囲炎を起こしている可能性が高まります。

性器クラミジア感染症は男性に比べると女性の方が、症状に気がつきにくい特徴があり、深刻な身体的影響も受けやすくなっています。症状に気がついた時は、パートナーと一緒に受診・治療を始めることが理想的です。

クラミジアの治療方法

クラミジアの治療方法は、クラミジア治療薬であるジスロマック2000mgを1回服用することで、90%の感染が治るとされています。特に海外では多く使われている方法で、国内でも一般的になりつつあります。ジスロマックは胎児に影響しないので、妊娠していてクラミジアに感染してしまった人にも使用が許可されている薬です。1回だけの服用でかなりの効果があり、腸から血液に入ると白血球に取り込まれた状態で1~2週間の間ずっと体内を循環します。クラミジアに感染している細胞の近くで放散されるので、できるだけ大量の薬を1回で体内に入れる必要があります。500mgを3日間連続服用したり、1000mgを1回だけという量を内服したりしても、放散力が変わるので効果が出ません。ジスロマックは腸球菌や連鎖球菌・マイコプラズマの一部に耐性を既に持っているものがありますが、その割合も年々増え続けています。海外ではジスロマックの治療だけを1番に行うことについて見直してきており、臨床データに基づきながら他の方法も取り入れていきます。

フルオロキノロンとマクロライドは作用の仕方が全く違いますが、この2種類の薬を使いながら確実にクラミジアを消滅させることができます。クラミジアは治療方法を間違えてしまっても、自覚症状自体が1~2週間ぐらいで消滅することが多いので完治したと勘違いされやすいです。有効な薬でも乱用したり、過剰投与すること・必要がないのに長期間使ったりはよくないとされています。クラミジアに有効な治療薬は、細胞内に移行しやすいもので、長期間にわたり作用し続けることが必要です。クラミジアのDNAレベルで有効な薬であることが必要で、これらの条件を満たしている薬の摂取が有効的になります。
健康保険の適用内で使える薬は選択肢が少ないですが、クラミジアは発育速度が遅く人の細胞の中でしか育たないという特徴があります。一般的な細菌培養検査で検出することが難しく、殺菌された後の核酸を検出することが基本的な作業になっています。尿や分泌物の中に放出されている細菌の数は、体内に入る菌のごく一部にしか過ぎません。この検出感度を上げる技術が用いられていますが、精度と感度が安定している方法を採用していることが基本です。